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名古屋地方裁判所 平成3年(わ)907号 判決

判決主文

一  被告人を懲役一年及び罰金一四〇〇万円に処する。

二  右罰金を完納することができないときは、金四万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

三  本裁判確定の日から四年間右懲役刑の執行を猶予する。

犯罪事実

被告人は、前記住居地において「三沢建設」の名称で土木工事業及び産業廃棄物処置業を営んでいたものであるが、自己の所得税を免れようと企て、所得税の確定申告に際し、所得金額に関する収支計算をしないで適宜過少な所得金額を計上し、架空の労務費を計上する方法により、所得の一部を秘匿したうえ、

第一 昭和六二年の実際の総所得金額は五五五二万八六三一円、分離課税による短期譲渡所得金額は六〇七万五〇九九円であり、これらに対する正規の所得税額は二八五三万二六〇〇円であったにもかかわらず、昭和六三年三月一四日、名古屋市中川区尾頭橋一丁目七番一九号所在の所轄中川税務署において、同税務署長に対し、総所得金額が一四三八万二九七七円、分離課税による短期譲渡所得金額が七一三万二七八二円であり、これらに対する所得税額が六八一万四六〇〇円である旨の虚偽過少の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により昭和六二年分の正規の所得税額と右申告税額との差額二一七一万八〇〇〇円を免れた

第二 昭和六三年分の実際の総所得金額は五六九二万三一三一円であり、これに対する正規の所得税額は二三六九万七八〇〇円であったにもかかわらず、平成元年三月一四日、前記中川税務署において、同税務署長に対し、総所得金額が一六九〇万〇〇〇三円であり、これに対する所得税額が四〇四万四四〇〇円である旨の虚偽過少の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により昭和六三年分の正規の所得税額と右申告税額との差額一九六五万三四〇〇円を免れた

第三 平成元年分の実際の総所得金額は五七〇八万一七二七円であり、これに対する正規の所得税額は二三四三万七八〇〇円であったにもかかわらず、平成二年三月一四日、前記中川税務署において、同税務署長に対し、総所得金額が一八〇四万七〇三八円であり、これに対する所得税額が四三八万五二〇〇円である旨の虚偽過少の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により平成元年分の正規の所得税額と右申告税額との差額一九〇五万二六〇〇円を免れた

ものである。

法令の適用[求刑・懲役一年及び罰金二〇〇〇万円]

被告人の前記第一ないし第三の各所為はいずれも所得税法二三八条一項に該当するので、所定刑中いずれも懲役刑及び罰金刑(併科)を選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、懲役刑につては刑法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い前記第一の罪の刑に法定の加重をし、罰金刑については刑法四八条二項により各罪所定の罰金額を合算し、その刑期(七年六月)及び金額(一五〇〇万円)の範囲内で被告人を懲役一年及び罰金一四〇〇万円に処し、右罰金を完納することができないときは刑法一八条により金四万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置することとし、情状により刑法二五条一項を適用して本裁判確定の日から四年間右懲役刑の執行を猶予することにする。

量刑の事情

本件犯行は被告人が三年間にわたり申告納税制度を悪用して合計六〇四二万余円の所得税を逋脱したというものであり、その逋脱税額が高額であるばかりか逋脱率も高く、本件犯行による被告人の刑事責任が重いことは明らかであるというべきであるが、他方、被告人は今回深く反省して、本件につき既に正規の本税はもとより重加算税及び延滞税を完納しているうえ、平成三年四月には「三沢建設」を会社組織に改め、今後税理士の指導監督を受け納税義務を厳守していく旨を誓約していること、平成二年一二月から被告人の税務処理に関し委任を受けている松ケ﨑税理士も被告人を指導監督していく旨を誓約していることなど被告人に有利な情状もあるので、これら諸般の事情を考慮して量刑した。

裁判所書記官 松岡裕二

(裁判官 松永眞明)

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